アマチュア無線とは

アマチュア無線について、出来るだけ分かりやすい言葉で説明してみます。ちょっと違うぞとか、こう言うべきだぞとか、専門知識のある方が見たら大いに異論があると思うんですが、大目に見て貰えるとありがたいです。

趣味の王様

誰でも一度は「アマチュア無線」って言葉は聞いたことがあると思いますが、一体何なのか判らない方がほとんどでしょう。「趣味は何?」って聞かれても、私は複雑な気分になって「アマチュア無線」とは答えられず「いろいろやってます」と答えるようにしています。でも昔は趣味の大様と言われていたそうです。詳しい理由も誰が言い出したかも知りませんが、私なり想像していることを理由を列記してみましょうか。

  • 年齢や性別、国籍や政治信条に関係なく、免許さえ持てばみんな平等な友達。
  • 最新の技術を世界のアマチュアが研究している。
  • 無線通信を行うことから派生して、アウトドア、車、電子工作、ソフトウェアプログラミング、機械工作…多種多様な趣味が生まれます。そして身につきます。

何やってるの?

よく質問されますが、色々やってます(笑)。そして、人によって全然違います。そしてそして、色々やり過ぎて、一番回答に困る回答です。私がやっていることを思いつきで上げてみますね。

喋ってます

当たり前なんですが、無線機にマイクをつないで喋ってます。ラジオと違って誰がどこの周波数で喋ってるかなんて知らないので、無線機のダイヤルをグルグル回して喋ってる人を探して、見つけたら声を掛けて喋ります。公園の話し好きなおじさんを見つけて声掛けるような感じの一期一会なので、同じ人とは一度しか喋らないことがありますし、何度も同じ人と喋ることもあります。そして、一度も喋ったことがない人を探してます。

パソコン通信みたいなことをやってます

NIFTY-ServeやPC-VANのようなパソコン通信の創世記みたいな時代に、無線機とパソコン(初期の頃はワープロの通信機能)をつないでチャットみたいなことをやってました。通信ソフトや電子掲示板のプログラムを自作したりもやってました。当時では画期的な、アマチュア無線・電話回線の両方からアクセス出来る電子掲示板で、メッセージの自動転送機能なんかも載せてました。

蛇足になりますが、当時私が運営していた電子掲示板の名称が「Enkai-Net」なんです。その後結婚を機に電子掲示板を閉鎖し、Web版のEnkai-Netに移行しました。私の結婚が1998年、WindowsXPの発売が2001年なので、まだインターネットが一般的になる前ですね。

今は偉い人が考えた、海外のラジオ放送をガリガリ鳴ってる中でかすかに聞き取るような微弱電波を解析して文字に戻すソフトを使って、世界中の方との通信を楽しんでます。

カードを集めてます

無線で交信したら、交信証(交信証明証)を交換し合う習慣があって、それを業界用語でQSLカードと呼んでいます。内容は「あなたとの交信を証明します、○月○日に○○市から送信してあなたの信号強度は○○でした」と言う簡単なものです。自分以外には業界人でも興味が無いであろう1枚の紙切れですが、本人には想い出が詰まった大事なものです。時々整理ついでに眺めますが、30年前の交信でもその内容が思い出され懐かしんでいます。

色々作ってます

市販品がない必需品や便利なモノを自分で作ってます。でも売ってるものは出来るだけ買ってます(笑)。時代順に、アンテナ、通信ソフト、WEBサイト、パソコンから無線機を制御するためのケーブル、インターネットを介した遠隔操作のシステム、そして無線機の周波数によって自動的にアンテナを切り換える装置・・・それらに必要な知識は独学しかないので、いつでも勉強をしてます。

何が出来るの?

世の中頭がいい人がいるもんで、色々な通信を電波に乗せることが出来ます。昔ならモールス信号やテレタイプ(昔の映画に出てくる潜水艦の通信士がキーボードをカチャカチャやってるアレ)、近年ではFAX、ラジオ、テレビ。音とか映像とか、おおよそ全ての波形で表せるものは電波に乗せられますし、パソコンのデータも変換して電波に乗せられます。そして、それらはアマチュア無線家が通信の対象にして、通信方法を研究しています。

誰と喋ってるの?

[喋ってます]でも書きましたが、その辺のおじさんです。「CQ CQ」って聞こえてきたら「おーい、誰か話しかけてくれぃ」って言う合図なので、「はいはーい」て呼びかけるシステムです。公園でブツブツ言ってたらちょっと危ないおじさんかも知れませんが、アマチュア無線の世界ではそれが普通なんです(笑)。電波の届く範囲でしかしゃべれないので、「おーい」「はいはーい」がちょっとでも遠くまで聞こえるように、巨大なアンテナを建てたり高い山に登ったり、かすかな声がクリアに聞こえる仕組みを考えたり、みんな切磋琢磨しているんです。

何を喋ってるの?

アマチュア無線技士ですから、技術的興味での通信です。なので、強さと明瞭さの確認は必須事項で、あとはどんな場所から、どんなアンテナか・・・互いに興味のあることを話し合うことが多いです。必須事項だけで終了することもあるし、長話になることもあります。

資格がいるの?

まず、個人の国家資格として「アマチュア無線技士」の免許(車で言う運転免許)が必要です。第四級アマチュア無線技士~第一級アマチュア無線技士まであり、上位資格になると使用可能な操作・周波数・電波の出力が増えます。アマチュア無線技士の取得要件に年齢はありませんから、小学生からお年寄りまで誰でも取得できる免許で、私は中学2年生の時に独学で取得しました。現在では講習会や通信教育で取得する方も多いようで、独学が難しい場合でも講習会に参加すれば比較的簡単に免許が取得できるようです。昔は電信級(現在の第三級アマチュア無線技士)以上で通信術の実技試験があり、私の時代は放送で流れるモールス信号を書き取りました。現在は実技試験は廃止されたようです。

次に必要なのが無線局免許で、無線局免許状には使える電波の種類・周波数・電波の出力・使える場所が書いてあります。無線局毎に1枚の免許状になるので、無線機やアンテナが何台あっても免許状は1枚です。但し、移動局、固定局、固定局の場所違いなどで複数の無線局を開局する場合は無線局毎に開局申請を行うので、複数枚の無線局免許状を取得している方もおられます。免許状には書いてないのですが、申請の時には使う無線機やアンテナ、無線機に接続するパソコンなどの機器も登録します。私の場合は遠隔操作の免許も受けていますので、自宅以外の場所から遠隔操作で自宅の無線機を操作して通信を行う事が出来ます。

そもそも無線通信て何?

線がある(ワイヤード)の反対、線が無い(ワイヤレス)で通信を行う事です。昔なら「電線が無い」と書いていたんでしょうが最近は通信ケーブルと言えば光ファイバケーブルなのでケーブルは電線とは限らないですからね。実は光ファイバの光通信も有線通信も無線通信も仕組みは同じで、光や電気や電波の波を少し歪ませて信号を乗せる「変調」と、歪んだ波から元のきれいな波を差し引いて歪んだ部分から信号を取り出す「復調」の組み合わせから出来ています。信号を運ぶ手段が無線だから、無線通信と呼ぶわけです。

電波は何で飛ぶの?

電波が飛ぶ様子

2枚のアルミホイルのあいだに紙を挟んでサンドイッチ状にして、乾電池の+と-をそれぞれアルミホイルとつないだら、2枚のアルミホイルの間に電気が溜まります。これが昔理科で習ったコンデンサの原理です。乾電池は電気の流れが+と-が決まっている一方通行(直流)なので、アルミホイルには一瞬で電気が溜まって満タンになったら電気は流れなくなります(充電完了)。

+と-をひっくり返したらどうなるでしょうか?溜まった電気は+と-をひっくり返ったことによって流れだし、また溜まって電気が流れなくなります。+と-を周期的に交互にひっくり返して流しつづける(交流)とアルミホイルで出来たコンデンサには電気が流れ続けます。

交流の電気を流したままアルミホイルを離したり、アルバムを開くように徐々に開いたらどうなるでしょう?離れても電気は空中を飛んで流れ続けるんです。これが電波。送信側のアルミホイル(アンテナ)の電気に信号を乗せてから電波を飛ばして、受信側のアルミホイル(アンテナ)で受け取って復調したら、元の信号が取り出せます。

まとめ

いかがだったでしょうか?長いでしょ?思いつくままに並べてみたんですが、一日中喋れるぐらい色々やってるんです。そして、アマチュア無線家は理屈っぽくて話が長い(笑)。ちょっとでもアマチュア無線についての理解が深まったら幸いです。そしてそして、まだ理解出来ない事があったら、コメント下さい。布教活動を続けたいと思います。

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