G5RVと言うアンテナ
海外と交信する機会が増えると、相手側がどんなアンテナを使って日本まで電波を飛ばしてくるのか、私の弱い電波をどうやって拾ってくてているのか気になります。QSLカードを頂くと無意識に皆さんの使用アンテナ欄をチェックするようになっていたのですが、よく見かけるのがG5RVと言うアンテナ。気になって調べているうちに、簡単に作れてマルチバンドに使えることがわかり、自分でも作ってみることにしました。
詳しくは多くの方がWEB等で解説して下さっているので検索して頂くことにして、簡単に形状だけ説明すると、ダイポールアンテナのようなワイヤーアンテナで、並行フィーダで給電するのが特徴です。同軸ケーブルで給電するためにはバランス-アンバランス変換のバランが必要です。つまりワイヤーアンテナのエレメント部、ハシゴフィーダ部、バランから構成されるちょっと変わった形状のダイポールアンテナです。
普通のダイポールと違って全バンドでインピーダンス=50Ω、SWR=1.1になるわけではないのでチューナが必須ですが、モノバンドダイポールを庭に張り巡らすことも出来ないので1本で多くのバンドに使えるのは魅力的です。また、今まで使ってた釣り竿に電線を沿わせたいわゆる10mもない短いロングワイヤー(?)との違いも気になります。
設計
うちの敷地は立木が多いため、G5RVの標準長であるT型の上辺31m、縦棒13mを都合良く確保するのが難しく、ハーフサイズで作成することにしました。標準長だと3.5MHz~28MHzで使用出来るようですが、ハーフサイズだと7Mhz以上となるようです。
キモとなるハシゴフィーダですが、入手が難しいので自作することにしました。入手しやすい1.25㎡のビニール線で計算すると線間27mmで450Ωとなるようです。そうするとバランは9:1で巻数比3:1となり自作するにもわかりやすく都合が良さそうです。
作成
バランを作成する
バランの作成記事を見ていると、「定番のアドミン社#43材を使うと磁気飽和して都合がよくないからEMC対策コアを使うのが良い」なんてことを書いてる方がいて、中古のEMC対策コアがいくつも手元に転がってる私には渡りに舟だったので実証実験をすることにしました。
ホルマル線を巻くときに皮膜を傷付けないよう、手元に転がっていたビニールテープを巻いておきました。絶縁目的ではないので劣化してネチャネチャになっても問題ないでしょう。
ホルマル線は撚ってから巻いた方がいいようです。また、なるべく丁寧に均一にキレイに巻くことが良い結果を呼ぶようです。(私は一度目はかなり乱雑になって悪い結果になりました(笑))
内部配線も丁寧に最短で行うのが良い結果を呼ぶようです。私は懲りずに乱雑になって悪い結果になったので、やり直しました。写真左が1度目、写真右が2度目、ぱっと見そんなに変わらないようにも見えますが、撚るべきところはしっかり撚ったまま、mm単位で少し短くしただけでSWRが全く違います。結果的には、バランが一番のキモになりました。
写真左はSWRが全体的に不安定で、18MHzあたりだけがやっと使用可能な感じです。写真右は測定可能範囲では全てSWR=1、インピーダンスも50Ωで完璧です。
SWRの測定は、ハシゴ側(写真では塩ビ管側)に450Ω相当のカーボン抵抗を接続し、50Ω側(M型コネクタ側)にSWR計を入れて行いました。
ハシゴフィーダを作成する
線間27mmを保持するセパレータの材質を何にしようか悩んだのですが、100円ショップをウロウロしてて一目惚れをしたのがコレ。園芸コーナにある「ヒマワリ」と書いて植木鉢に挿すアレです。土に埋まるとんがった部分をカットし、27mm間隔の穴は書類に穴を開けるパンチで開けました。ここに線を通してズレないようインシュロックタイで止めて完成です。長さ5.5mの両端はエレメント側、バラン側共に塩ビ管を使って保持します。(作成途中の写真がこれしか見つからなかったのでわかりにくくてスイマセン)
仮設してチェック
組み立てて全て完成したら、仮設してイザ測定です。連続的に測定すると波がありますがアマチュアバンドでは設計値の7MHzから28MHzあたりまで使えそうです。
設計外の50MHzでも測定しましたが、全く問題なさそうですね。ちょっと以外でしたがこれはかなりうれしい。
写真ではわかりにくいですが、足場パイプを建てて立木の間を縫うようにして張りました。
給電部の拡大写真がコチラ(拡大してもわかりにくい)。運用場所である2Fの私の部屋の軒下から同軸ケーブルでバランを通して給電しています。同軸ケーブルに負担を掛けないよう、ハシゴフィーダの端の塩ビ管にロープを通して軒下まで張り、ロープの途中に作った輪に同軸ケーブルを通して吊り下げています。電柱間に通信ケーブルを通すときの方法と同じです。
実際に無線機に接続してみると、無線機内蔵のチューナで整合が取れるのは18MHz帯~50MHzで、7MHzは何故か無理でした。バランを改良するかこのままでも外付けチューナだとイケると思うんですが、私には不要だったので深追いしてません(笑)。何度も言いますが、50MHzでも使えるのはホントに嬉しい誤算です。2Fのベランダに立てたロングワイヤーとの違いは絶大で、まずノイズレベルが全く違うし信号強度も全く違います。聞こえる、聞こえないの差が明らかで、ロングワイヤーでうっすら聞こえるものがG5RVでははっきり聞こえてきます。ドキドキワクワクの自作アンテナでしたが、大成功でした。
後日談…使用開始してから3日程でSWRが不安定になり電圧給電になる21MHzだけ同調不可。当時単身赴任中で実験時間が取れない中しばらく悩んでいたのですが、目がいい娘に見てもらって原因が判明しました。食品をいれるタッパーをバランのケースにしていたのですが、木工用ボンドで隙間をしっかり防水したつもりだったのに水が浸入して溜まっていました。コーキング材を流し込んで完全モールド状態にしてからは性能が復活して快適になりましたが、こんどは重くなってバランが垂れ下がり、ちょっとカッコ悪い。。
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