Wiki Category: アマチュア無線

アイコム用アンテナ自動切替器

概要

ICOMに限らず、HF帯用のアマチュア無線機のアンテナ接続端子は一部高級機種を除いて1つか多くても2つしかなく、多くの方が手動のアンテナ切替器を使われていると思います。使っていると感じるのが面倒くさい、また切り替えるのを忘れて終段トランジスタをぶっ壊しそうになって慌てて送信中断など色々経験されていると思います。私の場合は一時期の単身赴任時代に始めたリモート運用がキッカケになり、自動切替器を開発することになりました。遠隔では手動スイッチは切替出来ないので・・・

当初は同軸切替器部分も含めて作成する意気込みでしたが、既製品で外部コントロール出来るものが存在することがわかり、「欲しいけど製品が存在しないものを作る」とのコンセプトに反するためコントローラだけ作成する事にしました。このことは「既製品が存在するものは買った方がスマートで安定動作する」「作るのが面倒くさい」とも言えるポリシーです。

設計

BandV

ICOMのアマチュア無線機は、BandVと言う現在使用中の周波数帯をDC0~8Vの電圧で表した情報がACC端子に出ています。これはどうやら、リニアアンプや昔存在したICOM純正のアンテナ自動切替器を制御するための情報のようです。これを使うと、トランジスタ等を使った簡単な回路で情報を取り出して、それに応じたリレーを駆動する事が出来ます。

ただし欠点があります。規格が古いからなのかいくつかのバンドが分離できない事、またアナログ信号ゆえに個体差や使用状況により信号電圧が少しバラツキがあるようでICOMも基準電圧を公開していません。手持ちの無線機の出力を測定したらわかるものの、汎用性を考えたら多少の調整回路が必要な気がします。

CI-V

ICOMのアマチュア無線機をパソコンなどから制御するための端子で、シリアル通信です。仕様も公開されており、取扱説明書にも記載されています。何機種かの取扱説明書を見てみると、古い機種(手元のIC-706)ではPTT制御も出来なかったのが、新しい無線機ではかなり多くの機能が使えるようになっています。HAMLOGやWSJT-Xなどのソフトウェアから無線機を制御するためにも使用しているので、御存知の方も多いのではないでしょうか。

ただしこちらにも欠点が。まずシリアル通信を監視するので単純なアナログ回路では解析が出来ない、あと既にパソコンと接続している可能性も高いため通信の衝突防止などを考えないといけない・・・とにかく面倒くさそうです。

Arduino(アルデュイーノ)

どうやらマイコンを使ったらシリアル通信が簡単に扱えそう・・・と色々探っている時にArduinoと言うATmega328Pマイコンを使った開発ボードに出会い、全てをソフトウェアで制御することにしました。せっかくなので色々な状況でも使える事を目指して開発したので、BandVとCI-Vの両方に対応し、CI-Vの通信速度やアドレスの変更、また、試作段階で判明した通信衝突によるWSJT-Xのエラー回避、万が一周波数情報をマイコンが見逃しても一定周期で再取得するなどの機能も盛り込みました。

周波数帯内の分割出力

リクエストを頂き、クリエイトデザイン社の短縮ダイポール(CD78/CD160/330V)向けにアンテナを選択すると同時に、同一周波数帯内を分割して選択信号を3桁でBCD出力する機能も実装しました。短縮故に同調範囲が狭いためのマッチング回路を選択するためにあると便利な機能だそうです。

オープンコレクタ出力

リクエストを頂き、オープンコレクタ仕様も考えてみました。実は出力ICを交換すると近い事は出来るのですが、ちょっとだけ基板の加工が必要です(IC交換とパターンカットとジャンパー2箇所ぐらい)。でもそれを嫌う方もいらっしゃるようで、とりあえず追加基板を用意しました。っと言っても新規作成するほどのことでもないので、既成の中華汎用リレーボードを解析して回路図と解説書を作っただけです。汎用リレーボードなので、解説書も汎用に使えるようにしてみました。自分が次に使う時の備忘録でもあったりします。

ヤエス対応

リクエストを頂き、YAESU機のLIN/TUN端子に出ているBCD信号をCI-Vに変換し、周波数帯を読み取ることも出来るようにしました(オプション対応)。

完成品紹介

内部の様子。ほぼ全ての機能をマイコンによるソフトウェアで実現したので回路は至ってシンプルで、マイコンの他には衝突対策のための信号制御用のフォトカプラ、外部リレー駆動用のトランジスタアレイ、電源とノイズフィルタで構成しています。Arduinoはいわゆるワンボードマイコンですが、小型化するためにマイコンチップが動作するために必要な部品を実装した自作基板としました。

開発途上はブレッドボードで実験して穴あき基板で作成しましたが、試験中にショートさせて壊し、しばらく放置している間に試しに基板屋に頼んだものが届いたので再作成しました。

前面パネルの様子。出来るだけシンプルにしたかったので操作スイッチは3つだけ。液晶パネルを採用したので誰でも直感的で簡単に操作出来るハズです。初期設定が終わったら触る事はありません。

バックパネルの様子。電源はACC2端子とDCジャックのどちらからでも供給可能、CI-Vは既にPCと接続してても使えるよう、in/outを設けました。信号の衝突防止対策、ノイズ対策も実装してあります。

こんな感じで使います。MFC-4716などの外部アンテナ切替器を制御、12V500mA(MAX)出力にしたので外部リレーを直接駆動できます。(MFJ-4716RC互換)

クリエイトデザイン社の短縮ダイポール向けの機能として、アンテナを選択すると同時に、同一周波数帯内を分割して選択信号を3桁でBCD出力します。1.9~28MHz帯の3つのバンドごとに最大8個の周波数を設定しておき、無線機の周波数を変更すると・・・

設定した周波数を境に周波数ゾーンを出力します。既存回路流用のため出力端子数の都合でアンテナ5本+2進数3桁での出力としたので、CD78やCD160と接続するには2進数を展開する必要があります。世の中には便利なデコードICがあるので、フォトスイッチで直接制御出来るようオプション基板も作りました。

YAESU機対応拡張オプションを作成しました。YAESU機のLIN/TUN端子からCIーVへ変換して周波数を読み取ることが出来ます。

中華汎用リレーボードを使用して、オープンコレクタ出力や絶縁出力も可能なように回路図と解説書も作成してみました。簡単な回路なのに結構面倒で、丸一日掛かってしまいました。

仕様

対応無線機

アイコム製アマチュア無線機のうち、Remote端子(CI-V端子)がありCI-V通信に対応したもの、またはACC端子からBandV信号が出力されているもの。また、ヤエス製アマチュア無線機のうち、LIN/TUN端子があるもの(オプション)。

対応アンテナ切替器

MFJ-4716または同等品(DC12Vでリレーを駆動するもの)
MFJ-4716はMFJ-4716RC互換でLANストレートケーブルを接続するだけで直接駆動できます。

対応周波数

BandV

1.9MHz帯~50MHz帯(ただし、18MHz/21MHzおよび24MHz/28MHzは分離不能、10MHzは除く)

CI-V

1.9MHz帯~1200MHz帯

LIN/TUN(ヤエス製アマチュア無線機、オプション)

1.9MHz帯~50MHz帯

周波数帯内分割出力

1.9MHz帯~28MHz帯を最大8分割(アイコム製アマチュア無線機とCI-V接続したときのみ)

電源

DC13.8V : ACC端子か、DCジャックへ接続(内部ジャンパ設定で選択)

出力

周波数帯内分割出力機能OFFの時(初期値)

無線機からの周波数帯信号により、最大8本までのアンテナを自動選択(出力端子は6本まで)。12V500mA(MAX)

周波数帯内分割出力機能ONの時

無線機からの周波数帯信号により、最大5本までのアンテナを自動選択。1.9MHz帯~28MHz帯内をさらに最大8分割し、ANT6~8の出力端子にBCD出力します。12V500mA(8端子合計)

周波数分割ANT6ANT7ANT8
1LLL
2LLH
3LHL
4LHH
5HLL
6HLH
7HHL
8HHH
出力真理表値表 L:0V、H:12V

表示

OLED液晶0.91インチ、128*32ドット

端子

端子名形状説明
ACC2miniDIN-6pin1:13.8V(ACC2-7) 5:GND(ACC2-2) 6:BandV(ACC2-4)(無線機のACC端子に接続する)
DC in2.1mm標準ジャックACC端子を接続しないときに、DC13.8Vを入力
CIV-RIG3.5mmモノラルミニジャック無線機のCIV端子へ接続
CIV-PC3.5mmモノラルミニジャックパソコンからのCI-Vケーブルを接続(必要な場合のみ)
Select OUTRJ-451:GND 2:ANT1… 7:ANT6 8:NC(MFJ-4716ピン互換、MFJ-4716RC互換。MFJ-4716とはLANストレートケーブルで接続可能。MFJ-4716側にDC電源の接続不要。)

制御信号

BandV

DC0~8Vの電圧信号

BandACC(2)-4 BandVthreshold(V)
1.97.046.5
3.56.055.5
75.004.5
144.063.5
18/213.162.7
24/282.222.0
501.881.3
100.010

CI-V

通信速度:300~115200、通信アドレス:0x00~0xef

常時監視し、周波数データを取得(本装置起動時、PCからの周波数設定指示、無線機からのトランシーブ)。また設定により3秒に1回のタイミングで周波数帯情報を要求可能(WSJT-X使用時はSettings-Radio-Poll Intervalにより頻回に送出されるため設定不要)。

バージョンアップ履歴

  • 1.01  CI-V通信アドレスを0xefまで拡張しました(IC-7300対応)
  • 1.10  周波数帯内の分割出力に対応しました(オプション基板によりCD78, CD160対応)
  • 1.11  周波数帯内の分割出力に対応しました(オプション基板によりCD78, CD160, 330V対応)
  • 1.12 設定モードの一部で[UP][DOWN]長押しで設定値が連続変化するようになりました
  • 1.13 通常表示モードのアンテナ表示を大型化、スクリーンセーバ機能を追加しました

今後の展望

リクエストを頂いたり、自分で使ってて欲しい機能(備忘録)

  • IC-705にはCI-V(Remote)端子がないんですよね。前から気になってはいたのですが、ついにリクエストを頂きました。現在、USBかBluetoothをRemote端子に変換する研究中です。
  • YAESU/KENWOOD機のCAT対応
    YAESU機対応オプションにRS-232Cシリアル通信機能を追加できるようにしています。YAESU機のCATは無線機毎に仕様がバラバラなのことがわかり、テスト環境を用意するのはちょっと難しいかな・・・。誰か提供してくれないかなぁ・・・

頒布も始めました。安定動作を保証するため、基板が完成するまでの部品を同梱して3000円+送料200円(基板・基板上の部品のみ、ケース・入出力端子はなし)です。また、完成品も少しですが用意しました。画面の上の方のメニューから、「ショップ」をクリックすると見る事が出来ます。ウィンドウショッピングだけでもいいので御覧いただけると嬉しいです。

資料

外出先でパソコンの時刻を正確に合わせる

FT8モードは同期通信なのでパソコンの時刻を正確に合わせないとデコード出来ず交信が出来ません。自宅ではインターネット接続を利用して合わせる事が出来るけど、外出先となると携帯電話のテザリングを利用したり、携帯電話の電波が入らない場所では手動で合わせたり色々苦労がつきものです。パソコンの時計って、再起動とかスリープモードから復帰したら30秒とか平気でズレたりするんですよね。どうやって合わせるのが簡単か色々悩んだ末、ちょっと便利な方法が見つかったので、備忘録として記録します。

アマゾンで見つけた格安GPSレシーバGLONASS USB VK-172 GPSレシーバー、アマゾンのレビューやネット記事も多く出ているようなので購入してみました。ちなみにこれアマゾンでの購入価格1100円も充分安いのですが、中国の販売サイトからだと送料込みで500円ぐらいとめちゃくちゃ安いです(ただし、輸送もむちゃくちゃ時間がかかります)。

で、翌日には届いたのがこんな感じの簡易パッケージ。周りは溶着してないのでパッケージに戻して保管する事も出来ます。取扱説明書もドライバもダウンロード先リンクもなーんにもない、USBのドングルみたいなのが1つ入ってるだけです(笑)

ノートパソコンに直差しするとこんな感じ。GPSを捕捉すると右下のLEDが緑色に点滅するようです。

ここから先が一苦労しました。アマゾンのレビューでは「Windows10では差すだけで認識した」との記載が多いのですがどうにもなりません。デバイスマネージャを見てもCOMポートが1つ増えただけで、色々な手段でCOMポートにアクセするもGPSとしては機能していないようです。

以下、試行錯誤の末、私が自動で時刻合わせが出来るようになった方法を順を追って記述します。

u-boxのサイトにアクセスし、上のメニューから[Support]を開きます。

開いたメニューから[Product resources]をクリックします。

[u-blox GNSS Sensor Device Driver for Windows, v2.40]をクリックしてダウンロード、インストールします。(一応リンクを張っておきますが、リンク切れした際は上の手順でファイルをダウンロードして下さい)インストールの詳しい手順は省きますが、途中の言語でJapaneseを選択、後は何度かOKを押すだけの簡単なものです。

この状態でu-bloxのサイトにある評価用ソフトウェアからはGPSにアクセス出来るようになるのですが、巷のソフトウェアはCOMポートを使ってアクセスする事が多いので以下の作業を行います。

※アマゾンのサイトにはu-bloxのサイトにあるu-blox GNSS VCP Device Driver for Windows, v3.10(仮想comポートドライバ)をインストールするように記載がありますが、私の場合は仮想comポートにはソフトウェアからうまくアクセス出来ませんでした。

Windowsマークを右クリックしてデバイスマネージャを開くと[センサー]が出来てるので、左の[>]マークをクリックします。[u-box 7 GPS/GNSS Location Sensor]を右クリックして、[ドライバの更新]をクリックします。

[USB シリアル デバイス]を選択してインストールします。

ここで念のため、パソコンを再起動しておきます。

デバイスマネージャの[ポート]を開き、新しくできたCOMポートを確認しておきます。これで、GPSにアクセスする準備は整いました。

GPSから取得した時刻からパソコンの時刻を自動修正するためにBktTimeSyncと言うソフトウェアのインストールします。向島ポンポコ日記さんのサイトを参考にさせて頂きました。

BktTimeSyncのページからダウンロードします。ダウンロードリンクはページの下の方にあります。

[Serial Port]に先程出来たCOMポートを設定します。[NTP server]には[ntp.nict.jp]とでもしておきましょう。

他も好みに合わせて変更します。簡単な英語ですので迷う事は無いでしょう。私はNTPも設定しておきましたので、Wifiが使える場所(モバイルルータやテザリングが使用可能な場所)ではNTPで、それ以外の場所ではGPSレシーバを差して時刻を取得することにしました。

このソフトの素晴らしいところは、アマチュア無線家が開発されたらしい気配り。GPSのデータ取得出来るとグリッドロケータが自動で計算されて表示されます。標高まで表示されていますね。

システムトレイに入れておき、マウスカーソルをアイコンに合わせると、最後に時刻修正した時刻と、そしてグリッドロケータが表示されます。なんか嬉しい。

あと、システムトレイのアイコンを右クリックして表示されるメニューから、時刻の手動修正も出来ます。FT8で時刻がズレててうまく通信できないときに、役立ちそうです。

IC-705でモバイルバッテリを利用

IC-705の電源条件

IC-705の取扱説明書によると、バッテリーパック(DC7.4V)使用時の消費電流は送信出力最大時(5W)2.5Aとあります。SSB(FT8)モードで運用時に実際に流れる電流を2A、移動運用では受信時間は少ないため送受1:1と仮定すると、バッテリパックが1880mAhなので実際の持ち時間は2時間弱でしょう。これはYouTubeのももチャンネルさんの投稿と一致します。

また外部電源(DC13.8V)使用時の消費電力は送信出力最大時(10W)3Aとあります。SSB(FT8)で実際に流れる電流を2.5Aとすると、同様に17Wh程度の消費電力と想像します。バッテリパック5w送信時7.4Whの倍よりちょっと多いぐらいですね。

外部バッテリの検討

アマゾンでポータブルバッテリを検索すると必ずヒットするのがAC100Vなども取り出せるアウトドア用と称する大型のポータブルバッテリですが、これは大きく重く、充電も扱いにくそうでお気軽運用には不向きに思えます。そこで気付いたのがモバイルバッテリ。最近の新しいUSB電源規格であるUSB Type-C PD(Power Delivery)に対応したモバイルバッテリであれば20V5A(3A), 15V-3Aなどの電源を取り出す事が出来、IC-705の電源条件にぴったり一致します。可搬性も充電のしやすさもよく、また充電器がそのままIC-705の外部電源としても使えます。問題は1点だけ、PDに対して15V3Aを送るように指示を出すICが必要です。

USB Type-C PDに対応したモバイルバッテリについては、アマゾンでUSB Type-C PDと検索すると数多くヒットします。26800mAhの表記だと96.48Wh(3.6Vセルの場合)または99.16Wh(3.4Vセルの場合)なので、稼動時間は5.6時間、余裕を見ても5時間程は10Wで運用出来そうです。なお、モバイルバッテリは和製英語で、英語表記はPower Bankです。

IC-705とモバイルバッテリの耐久力実験

モバイルバッテリをアマゾンで購入して耐久力テスト。商品ページが消滅したので購入先や仕様の詳しいご紹介は出来ません。USB Type-C PDの15V3A出力に対応しており公称値容量26,800mAh/96.48Whとお考え下さい。ちなみに私の購入価格はタイムセールやまとめ買い割引を駆使して1つ4500円ほどです。実測サイズは87.5mmx189mmx24mm、実測重さは660.5gです。また、接続ケーブルは実験時点ではShop6502さんのサイトで頒布して頂いた物を使用しました。

実験風景①

テストはコンデションが落ちて何も受信出来なくなった深夜0時の7Mhz国内バンド、アンテナはダミーロードを使用してFT8モードでCQを出しまくります。SSBでキャリアをかけて15秒送信、15秒受信のサイクルです。IC-705の電源はモバイルバッテリの15V3A出力で接続し、最大送信出力は10Wに設定しました。もちろんモバイルバッテリは完全充電状態で、USB端子からは充電しないよう設定しました。IC-705は外部電源電圧が下がると内部バッテリに自動で切り替わるそうなので、その時の動作も気になるところです。

実験風景②

途中経過を時系列に紹介しますが、時間は大まかなものとお考え下さい。

  • 0:00 テストスタート。
  • 1:30-2:00 モバイルバッテリの残量表示の4つのLEDは全て点灯し、75%-100の状態。
  • 2:20 気付くと残量表示のLEDが点灯は3つになり、50-75%の状態。
  • 6:00 寝落ちして気付くとIC-705もスリープ状態。WSJT-Xのログを見ると5:00頃に送信がタイムアウトしていたので、その後IC-705も寝落ちしたのでしょう。1時間程休憩を挟んだ事になります。WSJT-Xを起こすとIC-705もすぐに起きてくれました。画面が消えていただけなのかな?この時点で残量表示のLEDは2つ点灯し、25%-50%です。
  • 6:07 残量表示のLEDが残り1つになり、0-25%の状態になりました。出力電圧は15Vを維持しています。
  • 6:44 IC-705の電源が落ちました!残念ですが内部バッテリに切り替わる瞬間を見逃しました。

結論。公称値容量26,800mA/96.48WhのモバイルバッテリでFT8モードでCQを出しまくる(SSBで15秒送信/15秒受信のサイクル)と、5時間45分の運用+1時間のスリープが可能です。移動運用の電源はもはや、モバイルバッテリ1つで充分そうですね!

電源仕様まとめ

その後USB Type-Cに接続出来る電圧・電流計を入手して調べたところ、IC-705の外部電源(DC15V)使用時にFT8モードやCWモードで送信した時に流れる実際の電流は2A程度でした。そうなるとIC-705の消費電力は15Whですので公称値容量96.48Whのモバイルバッテリの計算上の使用時間は6.4時間、実際は5.75時間だったので公称値の9割程が実際に使える容量のようです。

今回の検討・実験から、USB Type-C PDモバイルバッテリを使用して10Wで移動運用するための電源仕様を私なりににまとめました。

機材等 仕様
USB Type-C PDモバイルバッテリ 出力45W以上で、15V3Aに対応したもの。
(USB PDの規格上、45W以上であれば15V3Aに対応してるはず。15Vでは3Aが最大電流となるため、出力60Wや100Wを使用しても15Vでは3Aが最大。)
USB Type-C PD充電器 使用するモバイルバッテリの充電電力以上。
 ※出力45W以上のものを使用すると、IC-705の外部電源としても使える。
USB PD~IC-705接続電源ケーブル USB Type-C PDに15V3Aのトリガが出せるもの。
(アマゾン等で販売されている似た形状のケーブルの多くは出力がDC20Vであったり、5Vを昇圧して15Vにするため電流容量が300mAであったり、入出力が逆であったりするため本用途ではほぼ使えない)
 ※モバイルバッテリ~IC-705の接続、USB Type-C PD充電器~IC-705の接続にも共通で使える
 ※動作確認済のものはShop@Enkai-Netでも頒布中
連続使用時間 モバイルバッテリの公称容量Wh ÷ 15Wh × 0.9
※モバイルバッテリの公称容量Wh ≓ mAh × (3.6V or 3.7V)
仕様:IC-705とUSB Type-C PDモバイルバッテリで10W運用

フィールドでの使用

カーフェリーでは渡れない厳島に、ハンドキャリーでIC-705を持ち込んで運用してきました。海沿いのベンチを1つ拝借して、海を見ながらの運用は気持ちが良かったです。実はこの運用は周囲に人が多く安全を考慮して出力5Wだったのですが、その後、瀬戸内海のとびしま海道の島々計8島をめぐり1日中モバイルバッテリのみで出力10Wでの移動運用を楽しみました。

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IC-705関連記事

IC-705と言う無線機

2020年にアイコムから発売されてちまたを賑わせているアイコム製ポータブルアマチュア無線機IC-705、ショルダーフォンの次の時代の携帯電話(巨大な受話器にアンテナがついてるヤツ)ぐらいの大きさで5w出力、さらに外部電源を接続すると10w出力だそうで、上手く付き合う事が出来たら、今までの移動運用のスタイルを大きく変える事になるのではないでしょうか。

かく言う私も10年程前は鉛蓄電池と50wのポータブル無線機を車に積んでゲリラ運用を楽しんでいたのですが、鉛蓄電池の取り扱いが面倒で遠ざかっておりました。ずっと頭の中ではお気軽移動運用のことを考えつつ・・・。

カバン1つで自宅外でアマチュア無線機を楽しめるとあり、離島や峠でのアマチュア無線を愛する私にとっても「待ってました!」と言わんばかりの新製品でした。そこで私も遅ればせながら入手し、IC-705を相棒に自宅外での運用(移動運用)を再開しました。

ここでは、主にハンドキャリーで移動運用を楽しむにあたって色々調べてブログに書いた事を中心にまとめてみます。

QSLカード区分棚

概要

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アマチュア無線で交信した時に交換する交信証(交信証明書)=QSLカードを順番に並べて整理するための棚「区分棚」を作りました。最近は電子QSLカードも増えておりますが、やっぱり趣向を凝らしたカードを頂けるとうれしいもんです。

全体の1/2ほどは電子QSLカードではなく紙カードですから、大量に交信した後には大量のカードを並べて発送、また大量に送られてきたカードを並べて整理する必要があります。アマチュア無線局に割り振られたコールサイン(車のナンバープレートみたいな感じ)を目印に1A1AAA, 1A1AAB…. JQ3BTU…. ZZ0ZZZときれいに並べるが大変で、みんなあの手この手を使って工夫する訳なのですが、最近は一度に扱うカードが400枚ほどになって困り果てておりました。そこで構想を練って、専用の区分棚を作ってみました。郵便局でアルバイトをしたことがある方なら、多分見たことがあるであろう、アレの小型版です。(今は機械区分だから区分棚はなくなったのかな?)

設計

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いつものように、ポンチ絵で設計図を書いてみました。

縦7段×横2列を2個作り、全部で28の棚になるようにしました。これは数字で分けるときはコンパクトに1個だけ使って1~0の10+αに区分可能、アルファベットで分けるときは2個使ってA~Z+αに区分可能な棚数です。

棚板は取り外し可能にして柔軟に対応出来るようにました。実際に運用されてるアマチュア無線家なら御存知だと思いますが、1とかAの文字はカードの枚数が多くなるので、棚板を1つ抜いて収まる量を2倍にして使おうと思います。また奥を少し下げて一度入れたカードが飛び出しにくい構造にしてみました。

木材は1×6材とベニア板で設計しています。これは値段が安いこともありますが、どこのホームセンターでも売られている規格品なので、実際に購入できる材料のサイズを見ながらお店で設計変更をするなんて手間が発生しにくいのが大きな理由です。

この設計図をいつものようにコーナンに持ち込み、材料を選定したら大型のマシンでいい感じに切断してもらう段取りです。

設計図を大きな写真で見るにはコチラ

作成

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事前に書いておいた設計図のおかげで、いい感じに切断してもらえました。自分で切るとなかなかここまでピッタリ同じサイズには切れないので、助かります。いい機械で切断しても切断面はトゲトゲしているので、紙やすり等を使って表面を整えておきます。どこまできれいに仕上げるか(どこで妥協するか?)で仕上がりが決まるので大事な工程です。今回はパーツが多いので、娘にも手伝って貰いました。あと、組み立てる時に支障が出る木材の反りなどもこの段階でカンナで修正しておきます。

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今回の工作のキモ、棚板を差し込む溝が歪まないよう、6枚の縦板を重ねて一気にケガキ線を引きました。

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棚板を差し込む溝はルータで掘って作りますが、56本の溝を同じ角度で真っ直ぐ掘るのは至難の業なので端材で簡単な治具を作ってみました。コイツのおかげで作業は楽しいものになりましたが、実際に作業をしてみると治具無しで直線で掘るのは絶対不可能ですね。

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下ごしらえ完成。ネジ止めの下穴もこの段階であけておきました。作業で失敗しないためにも、たとえポンチ絵でも設計図は大切です。

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1×6材に使われてる赤松は松ヤニが出てカードを汚す可能性があるので、組み立てる前に塗装します。いつもはオイル仕上げが多いのですが、今回は溝の中を筆で塗るのがめんどくさそうだったので、速乾のスプレー塗料でさっと塗ってしまいました。

完成

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組み立てたら完成。

カードを収納するケースと机の天板の隙間にピッタリ収まり、いい感じに仕上がりました。少量の整理ならこのまま使ってもいいし、コンパクトなので机の上に置いても使えます。

G5RV

G5RVと言うアンテナ

海外と交信する機会が増えると、相手側がどんなアンテナを使って日本まで電波を飛ばしてくるのか、私の弱い電波をどうやって拾ってくてているのか気になります。QSLカードを頂くと無意識に皆さんの使用アンテナ欄をチェックするようになっていたのですが、よく見かけるのがG5RVと言うアンテナ。気になって調べているうちに、簡単に作れてマルチバンドに使えることがわかり、自分でも作ってみることにしました。

詳しくは多くの方がWEB等で解説して下さっているので検索して頂くことにして、簡単に形状だけ説明すると、ダイポールアンテナのようなワイヤーアンテナで、並行フィーダで給電するのが特徴です。同軸ケーブルで給電するためにはバランス-アンバランス変換のバランが必要です。つまりワイヤーアンテナのエレメント部、ハシゴフィーダ部、バランから構成されるちょっと変わった形状のダイポールアンテナです。

普通のダイポールと違って全バンドでインピーダンス=50Ω、SWR=1.1になるわけではないのでチューナが必須ですが、モノバンドダイポールを庭に張り巡らすことも出来ないので1本で多くのバンドに使えるのは魅力的です。また、今まで使ってた釣り竿に電線を沿わせたいわゆる10mもない短いロングワイヤー(?)との違いも気になります。

設計

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うちの敷地は立木が多いため、G5RVの標準長であるT型の上辺31m、縦棒13mを都合良く確保するのが難しく、ハーフサイズで作成することにしました。標準長だと3.5MHz~28MHzで使用出来るようですが、ハーフサイズだと7Mhz以上となるようです。

キモとなるハシゴフィーダですが、入手が難しいので自作することにしました。入手しやすい1.25㎡のビニール線で計算すると線間27mmで450Ωとなるようです。そうするとバランは9:1で巻数比3:1となり自作するにもわかりやすく都合が良さそうです。

設計図を大きな写真で見るにはコチラ

作成

バランを作成する

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バランの作成記事を見ていると、「定番のアドミン社#43材を使うと磁気飽和して都合がよくないからEMC対策コアを使うのが良い」なんてことを書いてる方がいて、中古のEMC対策コアがいくつも手元に転がってる私には渡りに舟だったので実証実験をすることにしました。

ホルマル線を巻くときに皮膜を傷付けないよう、手元に転がっていたビニールテープを巻いておきました。絶縁目的ではないので劣化してネチャネチャになっても問題ないでしょう。

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ホルマル線は撚ってから巻いた方がいいようです。また、なるべく丁寧に均一にキレイに巻くことが良い結果を呼ぶようです。(私は一度目はかなり乱雑になって悪い結果になりました(笑))

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内部配線も丁寧に最短で行うのが良い結果を呼ぶようです。私は懲りずに乱雑になって悪い結果になったので、やり直しました。写真左が1度目、写真右が2度目、ぱっと見そんなに変わらないようにも見えますが、撚るべきところはしっかり撚ったまま、mm単位で少し短くしただけでSWRが全く違います。結果的には、バランが一番のキモになりました。

写真左はSWRが全体的に不安定で、18MHzあたりだけがやっと使用可能な感じです。写真右は測定可能範囲では全てSWR=1、インピーダンスも50Ωで完璧です。

SWRの測定は、ハシゴ側(写真では塩ビ管側)に450Ω相当のカーボン抵抗を接続し、50Ω側(M型コネクタ側)にSWR計を入れて行いました。

ハシゴフィーダを作成する

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線間27mmを保持するセパレータの材質を何にしようか悩んだのですが、100円ショップをウロウロしてて一目惚れをしたのがコレ。園芸コーナにある「ヒマワリ」と書いて植木鉢に挿すアレです。土に埋まるとんがった部分をカットし、27mm間隔の穴は書類に穴を開けるパンチで開けました。ここに線を通してズレないようインシュロックタイで止めて完成です。長さ5.5mの両端はエレメント側、バラン側共に塩ビ管を使って保持します。(作成途中の写真がこれしか見つからなかったのでわかりにくくてスイマセン)

仮設してチェック

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組み立てて全て完成したら、仮設してイザ測定です。連続的に測定すると波がありますがアマチュアバンドでは設計値の7MHzから28MHzあたりまで使えそうです。

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設計外の50MHzでも測定しましたが、全く問題なさそうですね。ちょっと以外でしたがこれはかなりうれしい。

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写真ではわかりにくいですが、足場パイプを建てて立木の間を縫うようにして張りました。

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給電部の拡大写真がコチラ(拡大してもわかりにくい)。運用場所である2Fの私の部屋の軒下から同軸ケーブルでバランを通して給電しています。同軸ケーブルに負担を掛けないよう、ハシゴフィーダの端の塩ビ管にロープを通して軒下まで張り、ロープの途中に作った輪に同軸ケーブルを通して吊り下げています。電柱間に通信ケーブルを通すときの方法と同じです。

実際に無線機に接続してみると、無線機内蔵のチューナで整合が取れるのは18MHz帯~50MHzで、7MHzは何故か無理でした。バランを改良するかこのままでも外付けチューナだとイケると思うんですが、私には不要だったので深追いしてません(笑)。何度も言いますが、50MHzでも使えるのはホントに嬉しい誤算です。2Fのベランダに立てたロングワイヤーとの違いは絶大で、まずノイズレベルが全く違うし信号強度も全く違います。聞こえる、聞こえないの差が明らかで、ロングワイヤーでうっすら聞こえるものがG5RVでははっきり聞こえてきます。ドキドキワクワクの自作アンテナでしたが、大成功でした。

後日談…使用開始してから3日程でSWRが不安定になり電圧給電になる21MHzだけ同調不可。当時単身赴任中で実験時間が取れない中しばらく悩んでいたのですが、目がいい娘に見てもらって原因が判明しました。食品をいれるタッパーをバランのケースにしていたのですが、木工用ボンドで隙間をしっかり防水したつもりだったのに水が浸入して溜まっていました。コーキング材を流し込んで完全モールド状態にしてからは性能が復活して快適になりましたが、こんどは重くなってバランが垂れ下がり、ちょっとカッコ悪い。。

自作関連記事

便利グッズの自作

決して自作派ではなく、むしろ市販品で間に合うものは出来るだけそれを購入することで手間を省こうと思ってるのですが、どうしても欲しいものがない時に諦めてポツポツ自作しています。

自分専用なので誰もが欲しい物ではない(むしろ要らない)と思うのですが、何かの参考になればと思い公開してみることにしました。

アマチュア無線とは

アマチュア無線について、出来るだけ分かりやすい言葉で説明してみます。ちょっと違うぞとか、こう言うべきだぞとか、専門知識のある方が見たら大いに異論があると思うんですが、大目に見て貰えるとありがたいです。

趣味の王様

誰でも一度は「アマチュア無線」って言葉は聞いたことがあると思いますが、一体何なのか判らない方がほとんどでしょう。「趣味は何?」って聞かれても、私は複雑な気分になって「アマチュア無線」とは答えられず「いろいろやってます」と答えるようにしています。でも昔は趣味の大様と言われていたそうです。詳しい理由も誰が言い出したかも知りませんが、私なり想像していることを理由を列記してみましょうか。

  • 年齢や性別、国籍や政治信条に関係なく、免許さえ持てばみんな平等な友達。
  • 最新の技術を世界のアマチュアが研究している。
  • 無線通信を行うことから派生して、アウトドア、車、電子工作、ソフトウェアプログラミング、機械工作…多種多様な趣味が生まれます。そして身につきます。

何やってるの?

よく質問されますが、色々やってます(笑)。そして、人によって全然違います。そしてそして、色々やり過ぎて、一番回答に困る回答です。私がやっていることを思いつきで上げてみますね。

喋ってます

当たり前なんですが、無線機にマイクをつないで喋ってます。ラジオと違って誰がどこの周波数で喋ってるかなんて知らないので、無線機のダイヤルをグルグル回して喋ってる人を探して、見つけたら声を掛けて喋ります。公園の話し好きなおじさんを見つけて声掛けるような感じの一期一会なので、同じ人とは一度しか喋らないことがありますし、何度も同じ人と喋ることもあります。そして、一度も喋ったことがない人を探してます。

パソコン通信みたいなことをやってます

NIFTY-ServeやPC-VANのようなパソコン通信の創世記みたいな時代に、無線機とパソコン(初期の頃はワープロの通信機能)をつないでチャットみたいなことをやってました。通信ソフトや電子掲示板のプログラムを自作したりもやってました。当時では画期的な、アマチュア無線・電話回線の両方からアクセス出来る電子掲示板で、メッセージの自動転送機能なんかも載せてました。

蛇足になりますが、当時私が運営していた電子掲示板の名称が「Enkai-Net」なんです。その後結婚を機に電子掲示板を閉鎖し、Web版のEnkai-Netに移行しました。私の結婚が1998年、WindowsXPの発売が2001年なので、まだインターネットが一般的になる前ですね。

今は偉い人が考えた、海外のラジオ放送をガリガリ鳴ってる中でかすかに聞き取るような微弱電波を解析して文字に戻すソフトを使って、世界中の方との通信を楽しんでます。

カードを集めてます

無線で交信したら、交信証(交信証明証)を交換し合う習慣があって、それを業界用語でQSLカードと呼んでいます。内容は「あなたとの交信を証明します、○月○日に○○市から送信してあなたの信号強度は○○でした」と言う簡単なものです。自分以外には業界人でも興味が無いであろう1枚の紙切れですが、本人には想い出が詰まった大事なものです。時々整理ついでに眺めますが、30年前の交信でもその内容が思い出され懐かしんでいます。

色々作ってます

市販品がない必需品や便利なモノを自分で作ってます。でも売ってるものは出来るだけ買ってます(笑)。時代順に、アンテナ、通信ソフト、WEBサイト、パソコンから無線機を制御するためのケーブル、インターネットを介した遠隔操作のシステム、そして無線機の周波数によって自動的にアンテナを切り換える装置・・・それらに必要な知識は独学しかないので、いつでも勉強をしてます。

何が出来るの?

世の中頭がいい人がいるもんで、色々な通信を電波に乗せることが出来ます。昔ならモールス信号やテレタイプ(昔の映画に出てくる潜水艦の通信士がキーボードをカチャカチャやってるアレ)、近年ではFAX、ラジオ、テレビ。音とか映像とか、おおよそ全ての波形で表せるものは電波に乗せられますし、パソコンのデータも変換して電波に乗せられます。そして、それらはアマチュア無線家が通信の対象にして、通信方法を研究しています。

誰と喋ってるの?

[喋ってます]でも書きましたが、その辺のおじさんです。「CQ CQ」って聞こえてきたら「おーい、誰か話しかけてくれぃ」って言う合図なので、「はいはーい」て呼びかけるシステムです。公園でブツブツ言ってたらちょっと危ないおじさんかも知れませんが、アマチュア無線の世界ではそれが普通なんです(笑)。電波の届く範囲でしかしゃべれないので、「おーい」「はいはーい」がちょっとでも遠くまで聞こえるように、巨大なアンテナを建てたり高い山に登ったり、かすかな声がクリアに聞こえる仕組みを考えたり、みんな切磋琢磨しているんです。

何を喋ってるの?

アマチュア無線技士ですから、技術的興味での通信です。なので、強さと明瞭さの確認は必須事項で、あとはどんな場所から、どんなアンテナか・・・互いに興味のあることを話し合うことが多いです。必須事項だけで終了することもあるし、長話になることもあります。

資格がいるの?

まず、個人の国家資格として「アマチュア無線技士」の免許(車で言う運転免許)が必要です。第四級アマチュア無線技士~第一級アマチュア無線技士まであり、上位資格になると使用可能な操作・周波数・電波の出力が増えます。アマチュア無線技士の取得要件に年齢はありませんから、小学生からお年寄りまで誰でも取得できる免許で、私は中学2年生の時に独学で取得しました。現在では講習会や通信教育で取得する方も多いようで、独学が難しい場合でも講習会に参加すれば比較的簡単に免許が取得できるようです。昔は電信級(現在の第三級アマチュア無線技士)以上で通信術の実技試験があり、私の時代は放送で流れるモールス信号を書き取りました。現在は実技試験は廃止されたようです。

次に必要なのが無線局免許で、無線局免許状には使える電波の種類・周波数・電波の出力・使える場所が書いてあります。無線局毎に1枚の免許状になるので、無線機やアンテナが何台あっても免許状は1枚です。但し、移動局、固定局、固定局の場所違いなどで複数の無線局を開局する場合は無線局毎に開局申請を行うので、複数枚の無線局免許状を取得している方もおられます。免許状には書いてないのですが、申請の時には使う無線機やアンテナ、無線機に接続するパソコンなどの機器も登録します。私の場合は遠隔操作の免許も受けていますので、自宅以外の場所から遠隔操作で自宅の無線機を操作して通信を行う事が出来ます。

そもそも無線通信て何?

線がある(ワイヤード)の反対、線が無い(ワイヤレス)で通信を行う事です。昔なら「電線が無い」と書いていたんでしょうが最近は通信ケーブルと言えば光ファイバケーブルなのでケーブルは電線とは限らないですからね。実は光ファイバの光通信も有線通信も無線通信も仕組みは同じで、光や電気や電波の波を少し歪ませて信号を乗せる「変調」と、歪んだ波から元のきれいな波を差し引いて歪んだ部分から信号を取り出す「復調」の組み合わせから出来ています。信号を運ぶ手段が無線だから、無線通信と呼ぶわけです。

電波は何で飛ぶの?

電波が飛ぶ様子

2枚のアルミホイルのあいだに紙を挟んでサンドイッチ状にして、乾電池の+と-をそれぞれアルミホイルとつないだら、2枚のアルミホイルの間に電気が溜まります。これが昔理科で習ったコンデンサの原理です。乾電池は電気の流れが+と-が決まっている一方通行(直流)なので、アルミホイルには一瞬で電気が溜まって満タンになったら電気は流れなくなります(充電完了)。

+と-をひっくり返したらどうなるでしょうか?溜まった電気は+と-をひっくり返ったことによって流れだし、また溜まって電気が流れなくなります。+と-を周期的に交互にひっくり返して流しつづける(交流)とアルミホイルで出来たコンデンサには電気が流れ続けます。

交流の電気を流したままアルミホイルを離したり、アルバムを開くように徐々に開いたらどうなるでしょう?離れても電気は空中を飛んで流れ続けるんです。これが電波。送信側のアルミホイル(アンテナ)の電気に信号を乗せてから電波を飛ばして、受信側のアルミホイル(アンテナ)で受け取って復調したら、元の信号が取り出せます。

まとめ

いかがだったでしょうか?長いでしょ?思いつくままに並べてみたんですが、一日中喋れるぐらい色々やってるんです。そして、アマチュア無線家は理屈っぽくて話が長い(笑)。ちょっとでもアマチュア無線についての理解が深まったら幸いです。そしてそして、まだ理解出来ない事があったら、コメント下さい。布教活動を続けたいと思います。

アマチュア無線家としての自己紹介

アマチュア無線家としての自己紹介

無線局免許状等情報

識別信号JQ3BTU
無線設備の常置場所奈良県奈良市(JCC:2401 GL:PM74XO)
資格第3級アマチュア無線技士

使用アンテナ

周波数帯アンテナ
3.5MHz短縮型チェップ型
7MHzチェップ型
18~28MHz自作G5RV harfsize
50MHz4ele HB9CV
144/430MHzGP

自己紹介

奈良の山間部からデジタルモードFT8を中心に国内外との通信を楽しんでいます。

現在は地理的・時間的制約で微弱信号でも交信が可能なFT8モードが中心になっていますが、ハイシーズンの週末はHFハイバンドでSSB/FMの国内交信もワッチしております。

英文サイトEnglish:QRZ.com/JQ3BTU

沿革

免許取得

中学生の頃にアマチュア無線部に入り、電話級アマチュア無線技士(現第4級アマチュア無線技士)の免許を取得。でも親から「勉強に専念しろ」なんて言われ、無線機を設置して開局なんて許して貰えずペーパーアマチュア無線技師でした。(アマチュア無線部に入った理由も、「運動部に入ったら勉強が出来ない」なんて言う親の指示でした。)

アマチュア無線部に通いながら当時「無線の帝王」なんて言われた部長や先輩のお世話になっていましたが、ペーパーを卒業することも出来ず悶々とした日々を過ごしていました。当時はお年玉も取り上げられ、欲しいおもちゃも買って貰えず、自分の少ないお小遣いだけで楽しめること・・・何にも出来ないですね。少しの鉄道模型(Nゲージ)と図書館だけが友達だったように思います。

開局

高校生になって親と大げんかをし、やっと10wの無線機と1本のGP(垂直アンテナ)を買って貰って、JQ3BTUとして開局しました。山に囲まれた住宅街の1本のGPではあまり本格的には楽しめなかったのですが、それでも交信で出会った多くの友人に恵まれ、交信や技術的な知識を広げ、電信級アマチュア無線技士(現第3級アマチュア無線技士)も取得しました。

高校時代は友人と50MHzの移動運用、短大時代~結婚するまでは自作RBBSのホスト局の運用を中心に楽しんでいたように思います。

現在

結婚して一度は市街地に住みましたが、その後、念願だった田舎暮らしをするために山間部に移住。田舎では土地が広く長いワイヤーアンテナを張ることが出来るので、HF帯で本格的に遊び始めました。

2008年頃

山間部に引っ越し、長い休眠状態から目覚めHF帯の運用開始。

2009年頃

奈良遷都1300年祭に合わせ、山間部を中心に県内各地から移動運用。

2009年~2011年

瀬戸内海の離島での移動運用。

2012年~2018年

?回目の休眠状態

2019年~2020年現在

無線熱が再燃し、FT8モードを中心に国内/国外を問わず交信中。